競艇の世界における「八百長」について徹底解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「八百長」とは、真剣に勝敗を競うように見せかけて、実は前もって約束しておいた通りに決着をつけることであり、転じて、馴れ合いで事を運ぶことを言います。日本で起きた「八百長」といえば相撲の印象が強いですが、では競艇の世界で八百長が起きたことはあるのでしょうか?今回は競艇の世界における「八百長」について徹底解説していきます

競艇で八百長が起きることはかなり難しい

競艇では法律で八百長が厳しく制限されている

競艇を含めてギャンブルやスポーツには、なんとなく「八百長」というイメージがつきものでしょう。事実、海外では有名なサッカーチームが八百長を行ったことがスキャンダルとなったりしていますから、もしかして日本の競艇でも八百長が起きているのでは?と思う方も多いはず。

ですが、日本では競艇も含めた公営ギャンブルは、「公営」であるがために、競技の運営や事業の運営において非常に事細かにルール(法律)が整備されています。そのため、基本的には競艇や競馬などで八百長を行うことはかなり難しいとされています。

モーターボート競走法

競艇の競技運営や事業運営について定めているのは「モーターボート競走法」という法律です。中でも八百長に関連する条文は第72条から75条。特に、現役ボートレーサーが賄賂を受け取ることを禁止する旨を定めた第72条では、以下のように定められています。

“第72条 競走の選手が、その競走に関して賄賂ろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、3年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、5年以下の懲役に処する。”

これはつまり、競艇においては賄賂を受け取った上でレースで不正を働いた場合だけではなく、賄賂を受け取ったり、あるいは賄賂の要求や約束をした時点で罪になる、と解釈できます。課せられるのも罰金ではなく懲役刑ですから、かなり厳しい罰則であるといえるでしょう。

さらにモーターボート競走法第11条では、競艇の施行者(競艇場の職員など)やボートレーサーが投票券を購入したり、または譲り受けることすらも禁止されています。また、ボートレーサーは競艇場に携帯電話などの通信機器を持ち込むことを禁じられており、違反者は長期間の出場停止やレーサー資格の剥奪など処罰の対象になります。

そもそもボートレーサーが八百長に手を出すうまみが少ない

そもそもボートレーサーの平均年収は約1,600万円。一番下のB2ランクのレーサーでも年収500万円、A2ランク以上のレーサーにもなれば年収1,800万円以上、場合によっては1億円も超えることもある「超高給取り」です。それに加え、ボートレーサーの現役期間は他のアスリートと比べてもかなり長く、現役でいる間は高い収入を得ることができます。

もし仮に八百長に手を出すことで順位が下げればその分もらえる賞金も少なくなります。さらにランクが落ちる可能性も出てきますし、もし八百長が発覚すれば永久追放されてしまうかもしれません。つまり、わざわざリスクを犯してまで八百長に手を出すことは考えにくい、といえるのです。ボートレーサーからしてみたら、安定してレースに出場し続けて賞金をゲットし続けること、実力を高めてランクを上げて、より賞金の高い重賞レースに進出することを目指した方がよほど賢明なのです。

それでも八百長に見られるレースは出てきてしまう

最近では、スマホやカメラ技術が発展しSNSやYoutubeなどですぐに広まってしまうため、怪しいレース展開があったら炎上してしまう危険性もあります。ですから、これまで以上にボートレーサー達は常に真剣にレースに取り組まざるを得ない環境にあると言ってよいでしょう。

それでも、競艇ファンにしてみれば「八百長なんじゃないか?」と見えてしまうようなレースはなかなか無くならないのが現状です。例えば後輩レーサーが先輩レーサーをサポートするような走り方をしているように見えるなどのケースが時たま出てくるのが実状です。

競艇界最大の汚点!?江戸川競艇場での舟券不正入手事件

事件の概要

まずは、ボートレーサーによる八百長事件ではないのですが、競艇界を揺るがした大きな事件についてご紹介しましょう。それが、江戸川競艇場の幹部による大量の不正舟券購入事件です。詳しく解説していくとこの事件は、1982年から1984年の2年間にわたり、江戸川競艇場の幹部が部下の職員に指示して、舟券発売が締め切られた後に的中を見越して舟券を大量に発行していた、というものです。

犯行の経緯

犯行の経緯について詳しく説明していくと、幹部は舟券の発売が締め切られてレースがスタートした後、ある程度レースが進行し的中舟券がほぼ確定した時点で、舟券の集計事務を行なっている部下に対して当たり券の売上を増やすように指示。自分が追加発行した舟券を不正に入手し、高額の払戻金を得ていたのです。犯行が明るみになったレースでは、追加発行した舟券が51.6倍と高配当のものであり、20万円分の舟券を買って幹部は1032万円の払戻を受けていました。

幹部による不正行為はなんと2年間も続きます。この間、幹部が得た不正な払戻金は2200万円にものぼるという事実が明るみになり、当時は大騒ぎになりました。それでも、この金額は明確に判明している分の金額なので、実際にはこれの倍以上の不正が行われていたのではないかと、言われています。

組織ぐるみの犯行である可能性

江戸川競艇場の不正事件については、これだけの大ごとが幹部一人の悪巧みで起こせるとは言いがたい、組織ぐるみの犯行なのでは?という意見もありました。というのも、まず現在ほど高度ではないものの、当時の舟券発売システムも不正対策が施されていました。例えば舟券の発券締め切りと同時に発売窓口は閉鎖され、更に舟券の発券端末などのスイッチも切れるために「締め切り後に舟券を買い足す」ことは不可能であるはずだったのです。

なぜ舟券を買い足すことができたのか?その秘密は「予備の」舟券発行機にありました。幹部は、本来であれば競艇場利用者が多い場合などにしか使われない予備の舟券発行機を使って、不正な的中舟券を発行するよう指示していたのです。幹部の指示とはいえわざわざ予備の舟券発行機を運用するのは明らかに不自然ですから、幹部の不正であることを承知の上で行われていたのではないか?と考えられます。

ここで更にもう一つ疑問点が浮かんできます。予備の舟券発行機で発行された舟券には、正規の舟券発行機で発行された舟券には印刷される「バーコード」が印刷されません。予備の発行機で発行されたバーコード無しの舟券を換金するには、職員による印鑑が必要なのです。つまり、幹部が不正に入手した舟券を容易に換金できていたということは、組合職員も幹部の不正を知っていた、あるいは組織ぐるみの犯行だったのではないか?という疑いが強くなるのです。

事件のその後と競艇界への影響

江戸川競艇場幹部による犯行は競艇を楽しんでいる人たちを裏切り、競艇界に多大な損失を与えました。しかし、結局のところ本件で裁かれたのは幹部一人のみ。不正取得した金額2000万円以上と目された一連の犯行のうち、立証されたのもわずか500万円のみ。さらには裁判所による判決も懲役1年10ヶ月という軽い刑に収まりました。一方、江戸川競艇場はこの事件によって3か月半の自粛を余儀なくされるなど、この事件は競艇界に大きな傷跡を残しました。なお現在は舟券の売買管理システムも改修されており、このような犯行が行われないように対策されています。

ボートレース大村での不正プロペラ事件

1988年、長崎県の大村市にある大村競艇場で、3人のボートレーサーがモーターボート競走法違反で逮捕される事件がありました。事件内容は、大村市玖島二の県モーターボート競走会のレーサー宿舎内で、正式重量より約50グラム軽く加工した不正プロペラを3人で共有した、というものです。

この事件は3人のうちの1人のレーサーの自供により明るみになったものであり、警察生活保安課は不正が常習的に行われていたと見ていました。実際に当時の競艇界では同じような行為が横行していた、という噂もありましたが、結局のところ3人の逮捕で事態は収束しています。

逮捕された3人のボートレーサーのうち1人は、前年の1987年に蒲郡競艇場で開催された「鳳凰賞」で優勝した国光秀雄選手。国光選手は62年度の最優秀選手であり、さらに年間獲得賞金も7570万円で全国3位の人気レーサーでもありました。ですから、ショックを受けた競艇ファンも多くいたといわれています。

平田忠則選手の通信機器持ち込み事案

2004年に平田忠則選手が選手宿舎に「電子手帳」を持ち込んで1年間の出場停止処分を化せられる事案が発生しています。前述したようにボートレーサーはレース開催期間中は八百長防止の為に外部との接触を禁止されています。これは携帯電話に限った話ではなく、通信機能を持つものも全てダメなので「電子手帳」であってもアウト。その規則を知りつつも平田選手は電子手帳で奥さんとメールをしていたとのこと。

1年間の出場停止処分というのは、レースに出場することで初めて賞金を稼げるボートレーサーにとっては辛いものです。それでも、当時は「永久追放にすべき」という声も出るなど、平田選手に対する批判はかなり強かったのです。現在は通信機器などの持ち込みはかなり厳重になり、更に処分もより厳しくなっています。

まとめ

今回は、競艇における「八百長」について解説してきました。昔は八百長をすることも比較的可能な環境ではありましたが、現在は、技術が進歩したこと、さらに八百長に対する罰則も強化されるなどリスクも上がり、八百長が疑われるような状況はかなり減ってきました。

何より「八百長」は競艇のファン以外から見たら強くマイナスイメージがつくものです。今後も引き続きクリーンなレースで観客を熱く湧かせてもらい、新しい競艇ファンもどんどん獲得していってほしいですね!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加