競艇の世界におけるアウトローな存在!「アウト屋」とは?

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競艇の世界には「アウト屋」と呼ばれるタイプのボートレーサーが存在します。「アウト屋」とは、インコースが圧倒的に有利とされる競艇において、あえてアウトコースから勝負を仕掛ける選手のこと。勝率こそ高くはないものの、アウト屋の勝負はダイナミックで豪快なレース展開になることが多く、その姿と生き様に心酔する競艇ファンは少なくありません。今回は、「アウト屋」として有名なボートレーサーたちについて解説するとともに、数少ないアウト屋たちによる直接対決が実現した珍しいレースについてもご紹介していきます。

競艇における「アウト屋」とは

競艇は、1周600mのコースを反時計回りに3周して競う「周回」レースであるため、内側をまわって短い距離を航走できるボートが圧倒的に有利となっています。具体的なデータを見ると、最も内側を回る1コースの1着率はおよそ40%となっている一方で、最も外側の6コースの1着率はわずか約4%と、その差は実に10倍です。そのため、ボートレーサーはスタートの際にはなるべくインコースからスタートできるようコース取りをするのが基本となっています。

そんな中、あえて外側のアウトコースからのスタートを狙うようなボートレーサーが存在します。彼ら彼女らのようなボートレーサーは「アウト屋」と呼ばれており、競艇の常識を覆す大ばくちのようなレースをしかけるアウト屋は、多くの競艇ファンから愛される存在となっています。

アウト屋として有名な選手その①「阿波勝哉」

阿波勝哉選手とは

1996年デビューで今年23年目を迎える「アワカツ」こと阿波勝哉選手は、例え自分が有利な1コースに入れる可能性の高い1号艇になってもあえて6コースに入るのを徹底している、競艇界随一のアウト屋として有名です。その証拠に、競艇の公式サイト「BOAT RACE」で公開されている直近のコース別進入率を見ると、なんと6コース100%!つまり、全てのレースにおいて6コースからスタートしているのです。

かつてのあだ名は「ミスターチルト3度」

阿波勝哉選手がとる戦略といえば、かつては大外からのまくりが有名でした。そのためモーターのチルト角度もその競艇場で許されている最大の角度に設定することが多く「ミスターチルト3度」というあだ名までつけられるほど。その他のモーター整備においてもスピードの伸びを重視する仕様に仕上げているとされており、このモーター整備は「阿波仕様」と呼ばれるほど有名になっていました。

近年の阿波選手の動向

そんな阿波選手ですが、実は近年は成績不振にあえいでいます。実際、2019年前期現在のボートレーサーランクは4段階のうち3番目の「B1」。阿波選手の成績不振の理由は、2012年4月の「持ちペラ制度廃止」にあるとされています。元々、競艇ではボートのプロペラを自前で用意する、いわゆる「持ちペラ制度」が採用されており、プロペラの整備にもレーサーの特徴が表れていました。もちろん阿波選手の場合は伸びを徹底的に追求したものとなっていましたが、持ちペラ制度廃止によりプロペラ整備でボートの伸びを良くすることが不可能になってしまったのです。

そのため阿波選手は現在、かつてのように大外からのまくりではなく、まくり差しを狙うような戦略に転換しています。チルト角度を最大に設定することも絶対ではなくなりました。それでも阿波選手はアウト屋であることを諦めたわけではありません。競艇のファンが望む限りは、6コースを自分の定位置としつづけることを公言しています。そんな阿波選手のスタイルには多くの競艇ファンが魅せられており、いつの日か阿波選手が再びSGレースで走る日を待っているのです。

アウト屋として有名な選手その②「澤大介」

澤大介選手とは

阿波勝哉選手と同期の澤大介選手もまた、競艇界指折りのアウト屋として知られています。ただし、阿波選手とは違いデビュー当初からのアウト屋というわけではなく、2003年頃から6コース専属に転向しています。BOAT RACEで公開されている直近のコース別進入率を見ると、6コースは99.1%と、ほぼすべてのレースで6コースに入っています。

澤大介選手、「月曜から夜更かし」に出演!?

競艇界ではアウト屋として有名な澤大介選手ですが、まったく別の話題で一瞬、時の人になりました。というのも澤選手は2017年8月、テレビ番組「月曜から夜更かし」の番組観覧に参加。その際に知人とされる女性とペアルックであることを、番組MCの村上信五さんとマツコ・デラックスさんに盛大にイジされてしまう様子が放送されてしまったのです。番組内では澤選手がボートレーサーであることは触れられていないものの、会話の中で「三重県出身」と返答したこともあり、競艇ファンにはバレバレだったのです。

アウト屋として有名な選手その③「小川晃司」

小川晃司選手とは

小川晃司は、阿波勝哉選手や澤大介選手とは違ったスタイルをもつアウト屋です。先にご紹介した2選手は、基本的には大外から一気に伸びていき大まくりを狙うのがメインの戦略でしたが、小川選手の場合は6コースから入ることで先行するボートの群れのスキをつくレーススタイルを持ち味としています。

小川晃司選手がアウト屋になった理由

そもそも小川選手は、デビューしたての若手の頃はインコースに入ることもありました。しかし、競艇の世界ではコース争いにおいても選手間の上下関係が関与してきます。若手は思うようなコースどりをさせてもらえないことも多く、小川選手の場合も必要以上に気をつかってしまい実力を出せないと感じるようになりました。

そこでとった戦略が、あえて自分から6コーススタートとすることで、誰にも気兼ねなく思い切りスタートできるようにする、というもの。この戦略転換が見事に的中し、ボートレーサーランクもA級に昇格。以降、小川選手は大外6コースを主戦場とするようになったのです。

ちなみに、小川選手は阿波選手や澤選手よりもデビューが早い「先輩」です。もし同じアウト屋の阿波選手とカチ合ってしまった場合には、後輩である阿波選手が空気を読んで、小川選手に6コースを譲ってくれるとのこと。

アウト屋がぶつかりあった熱戦!2019年2月27日 小川vs澤vs阿波@若松競艇場


2019年2月27日に開催された若松競艇場での一般戦「若松夜王S第5戦BOATBoyカップ個性派王決定戦」3日目の最終12レース。このレースは1号艇小川選手、2号艇澤選手、3号艇阿波選手とアウト屋が3人、それも1から3号艇に揃ってしまう珍しいレースとなりました。チルト角度は他の3選手が定石であるマイナス0.5度設定であるのに対して、小川選手0度、澤選手1.5度、そして阿波選手0.5度と、やはりアウト戦を意識した設定です。

ピット離れ直後、普通であればレーサーはインコースを狙うべく、我先にとコースへとボートを繰り出します。しかし、アウト屋にとってインコース争いは関係のない話。アウト屋3人はピット離れ直後、まったく急ぐそぶりも見せずに悠々とコースを周回しつつ、虎視眈々と6コースを狙っていきます。結果的に、最も外側の6コースに入ったのは、3人の中では最も先輩である小川選手。続いて5コースに阿波選手、4コースに澤選手と続く形になり、スタートしていきます。

しかし、先行するボートのスキをつこうとした小川選手は、他のボートにはじかれるなどして大きく失速。阿波選手も大まくりがうまく決まらず、2人は後方に沈んでしまいます。一方、澤選手は大まくりではなく差しに戦略変更することで鮮やかに周りを出し抜き、見事に2着でゴール。アウト屋3人による直接対決は、澤選手の一人勝ちという結果となったのです。

まとめ

今回は、競艇における「アウト屋」について解説してきました。インコースが有利という常識に縛られずに我が道を行く豪快なボートレーサーたち。必ずしも「強い」ボートレーサーではないかもしれませんが、その生き様に魅せられる競艇ファンは非常に多く、他のボートレーサーとは一線を画す強者として語られる存在です。

残念ながら、現在は持ちペラ制度の廃止により、以前と比べれば「アウト屋」には厳しいレース環境といえるでしょう。それゆえ、持ちペラ制度の廃止以降は名のある「アウト屋」が誕生していないのが現状です。

とはいえ、ボートレーサーの現役は長いです。今回ご紹介した3人の「アウト屋」には長く活躍してもらい、今後もその生き様にワクワクさせてもらいたいですね!

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