「植木通彦VS中道善博」など競艇の歴史に燦然と輝く名勝負をご紹介

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1951年に「モーターボート競走法」が制定・公布されて以降、68年にわたって日本中の競艇ファンを熱狂させてきた公営ギャンブル「競艇」。今回は、68年の歴史に燦然と輝く名勝負を3つ、ピックアップしてご紹介していきます。

文句なし!歴代最高の名勝負「第10回賞金王決定戦 植木通彦VS中道善博」

まず最初にご紹介するのは、競艇ファンの間では歴代最高の名勝負と名高い一戦「第10回賞金王決定戦」における植木通彦選手と中道善博選手の激闘です。

勝負の概要と背景

「マジシャン」こと中道善博選手46歳(当時)と、「不死鳥」こと植木通彦選手27歳(当時)。この2選手は、年齢こそ一回り違えど、1990年代の競艇界を大いに盛り上げた伝説的ボートレーサーです。数々の名シーンを作り上げてきた2選手ですが、特に1995年12月24日に住之江競艇場で行われた「第10回賞金王決定戦」は、競艇ファンにとってはもはや伝説として語り継がれる名勝負といえるでしょう。

出場選手

・1号艇 中道善博
・2号艇 野中和夫
・3号艇 烏野賢太
・4号艇 松井繁
・5号艇 植木通彦
・6号艇 熊谷直樹

第10回賞金王決定戦には、中道選手と植木選手の他、「モンスター」野中和夫選手や、後に「絶対王者」と呼ばれる、当時はまだ若手の松井繁選手といった一流ボートレーサーが出場しました。

レース結果

スタートからトップに立ったのは1号艇の中道選手でしたが、第1ターンマークで5号艇の植木選手が奇襲をしかけます。外から一気にマクリをしかけるものの、ここは中道選手が抑えてトップを死守。しかし、続く第2ターンマークでは中道選手がうまく回れず流れてしまい、そのスキを突いた植木選手がトップに躍り出ます。以降もターンマークごとにトップが入れ替わるデッドヒートを演じた両選手。ゴールラインまで互いに譲らず併走したままゴールインを迎えます。

わずか0.4秒の差で勝負を制したのは、5号艇の植木選手でした。一流ボートレーサーたちによる頂上決戦を制した植木選手は優勝賞金6千万円を獲得。ボート上で見せたガッツポーズは、競艇ファンの間では語り草となっています。ちなみに、実は植木選手は年間賞金王の座は逃しています。

・1着 植木通彦
・2着 中道善博
・3着 烏野賢太
・4着 熊谷直樹
・5着 松井繁
・6着 野中和夫

伝説の名勝負が再び!!「第11回賞金王決定戦 植木通彦VS中道善博」

次にご紹介するのは、「第11回賞金王決定戦」です。こちらは、最初にご紹介した「第10回賞金王決定戦」で実現した伝説の名勝負「植木通彦VS中道善博」のリベンジマッチとして同じく語られることの多い名勝負となっています。

勝負の概要と背景

前年に行われた「第10回賞金王決定戦」は、超絶デッドヒートを制した植木選手が優勝をつかみ取りましたが、なんと翌年、戸田競艇場で開催された賞金王決定戦でも、同じく「植木通彦VS中道善博」のライバル対決が実現しました。

中道選手にとっては1年越しのリベンジの機会。第10回賞金王決定戦では1号艇という有利な状況から優勝をつかみ取れなかった悔しさを晴らす意味でも絶好の機会と思ったことでしょう。対して植木選手にとっては、2年連続の賞金王として競艇の歴史に名を残せる、またとないチャンスです。

出場選手

・1号艇 古川文雄
・2号艇 中道善博
・3号艇 林貢
・4号艇 植木通彦
・5号艇 高山秀則
・6号艇 安岐真人

中道選手と植木選手は2年連続の出場です。その他、後に競艇の殿堂入りを果たす高山秀則選手や、前年の全日本選手権(ダービー)を制覇、9年ぶりの賞金王を狙うベテラン安岐真人選手といった、そうそうたるボートレーサーが集いました。

レース結果

前年度、史上最高との呼び声高い第10回賞金王決定戦とは対称的に、第11回賞金王決定戦はあっけない結末となりました。
2号艇の中道選手は3コースに、4号艇の植木選手はそのまま4コースで第1ターンマークに突入します。ここで植木選手が一気に内側をマクっていき1着に。なんと、そのまま他のボートを寄せ付けずに圧倒的な差をつけてゴールしてしまったのです。

植木選手は優勝賞金6千万円を獲得。1994年以来2度目の年間賞金王となるとともに、史上初の「年間獲得賞金2億円レーサー」を達成します。一方で、リベンジを狙った中道選手は5着に沈みます。実はこの年の3月、中道選手は「4年後に現役引退」することを公言していました(公言どおり2000年12月に引退)。そのことも相まって、競艇界の世代交代を強く印象づけたレースともなっています。

・1着 植木通彦
・2着 林貢
・3着 安岐真人
・4着 古川文雄
・5着 中道善博
・6着 高山秀則

21世紀最高の名勝負「第55回全日本選手権 丸岡正典VS瓜生正義」

次にご紹介するのは、「第55回全日本選手権」です。先にご紹介した「第10回賞金王決定戦」が20世紀最高の名勝負だとするならば、こちらは21世紀最高の名勝負として後世に語り継がれるかもしれません。

勝負の概要と背景

2008年10月13日に丸亀競艇場で開催された「第55回全日本選手権」。このレースでは、ともにテクニックに自信を持つ丸岡正典選手と瓜生正義選手が激突。伝説の名勝負「植木通彦VS中道善博」を再現したかのような「丸岡正典VS瓜生正義」のデッドヒートは、まさに「名勝負」の名にふさわしいものとなりました。

出場選手

・1号艇 丸岡正典
・2号艇 今垣光太郎
・3号艇 瓜生正義
・4号艇 石田政吾
・5号艇 松本勝也
・6号艇 木村光宏

レース前から多くのファンから期待を集めたのは、丸岡選手と瓜生選手。丸岡選手は、競艇界において「銀河系軍団」と呼ばれる黄金世代「85期」出身のボートレーサー。一方の瓜生選手は1995年のデビュー以降、「新鋭王座決定戦」や「笹川賞」などのタイトルレースを制した実力あるレーサー。2選手の特徴は、とにかくテクニックに優れた選手であること。そのため、目の肥えた競艇ファンにとってはテクニックの頂上決戦という見方もされていました。

レース結果

レース前の競艇ファンの期待どおり・・・いや、期待以上にレース内容は丸岡VS瓜生の「テクニック合戦」の様相を呈しました。
競艇の世界では「インコースのボートが圧倒的有利」という特徴があるために、基本的にはデッドヒートが起きづらいです。デッドヒートが起きるとしたら、それは各選手がミスを多発させ、決着が先送りとなった結果であることがほとんど。先述の「第10回賞金王決定戦」でもそれは同様であり、植木選手と中道選手が口を揃えて「ミスを連発した」と振り返るほどです。

しかし、この「第55回全日本選手権」における丸岡選手と瓜生選手は違いました。ともに有利となるインコースからスタートした2選手は、スタートからゴールまでノーミスでの競り合いを展開。「ミスをしたら終わり」という状況で繰り広げられた、高いテクニックを持つ2選手による息詰まる熱戦は「0.2秒差」で丸岡選手に軍配が上がりました。

・1着 丸岡正典
・2着 瓜生正義
・3着 石田政吾
・4着 木村光宏
・5着 松本勝也
・6着 今垣光太郎

史上希に見る「迷」勝負!?前代未聞の「全艇が非常識なフライング」

ここまで3つ、競艇の歴史に残る名勝負をご紹介してきましたが、最後に一つ、変わり種をご紹介しましょう。それは、2018年2月5日に行われた宮島競艇場開催の2日目9レースです。競艇初心者のファンにとっては、何の変哲もない一般レースのように聞こえるかもしれませんが、少し競艇に詳しいファンであれば「あ!あれか!!笑」とピンとくる「迷」勝負であるはずです。

勝負の概要

2018年2月5日に行われた宮島競艇場開催の2日目第9レース。このレースが一部競艇ファンの間で語り継がれる理由。それは、このレースでは前代未聞の「全艇が非常識なフライングにより即日帰郷」という出来事が起きたためです。

元々、宮島競艇場はスタートが難しい競艇場であるとされていますが、このレースではまず6号艇の河野主樹選手が「0.19秒」という大幅なフライング。それにつられ、その他のすべてのボートが0.05秒以上の「非常識なフライング」となってしまいました。当然、レースは不成立。レースに出艇した6選手全員が即日帰郷処分となりました。

出場選手

・1号艇 吉島祥之
・2号艇 原田智和
・3号艇 上村純一
・4号艇 山本修次
・5号艇 角山雄哉
・6号艇 河野主樹

全艇が非常識なフライングとなるきっかけを作ってしまった河野選手は、2017年に11月デビューしたばかりの新進気鋭のボートレーサーでした。若さが出てしまい前のめりになりすぎたのかもしれません。

後日談

さて、この宮島での全艇フライングが有名となっているもう一つの理由があります。実は宮島競艇場では、なんとこの翌日に行われた第5レースでも、出場5艇すべてがフライングによりレース不成立となってしまったのです。スタートが難しい宮島競艇場であっても、さすがに2日連続となると、競艇場としては悪夢でしょう。レースに賭けられたおよそ800万円の売上はすべて返還となりますから、大きな痛手となってしまいました。なお、このレースでは「非常識なフライング」となったのは塚原武之選手のみであり、他の4選手は即日帰郷は免れています。

まとめ

今回は、3つの名勝負と1つの「迷」勝負をご紹介してきました。競艇はほぼ毎日、日本各地でレースが行われており、明日以降もしかしたらどこかの競艇場で、ファンをうならせる名勝負が生まれるかもしれません。競艇はギャンブルですから勝ち負けも楽しみですが、きらびやかな水面で繰り広げられるダイナミックな熱戦も競艇の醍醐味といえます。ぜひ、競艇場に足を運んで、生で観戦してみてはいかがでしょうか。

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