競艇で耳にするチルトって何?基礎知識からミスターチルト3度まで徹底解説

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競艇のレースを観戦したり、あるいは予想を楽しんだりする際に「チルト」という言葉を聞いたことがあるでしょう。チルトとは端的にいうと「モーターをボートに取り付ける角度」のことをいうのですが、特に競艇で予想を楽しむときには、この「チルト」というものについてしっかり知識を持っているかどうかで、予想の精度まで変わってくるほどの重要な要素となっています。今回は、初心者にも分かりやすいように、競艇におけるモーターの基礎的な知識から、チルトについて解説をしていきます。

競艇における「チルト角度」とは

 

競艇で使われるモーターに関する基礎知識

まず大前提として知っておいていただきたいのが、競艇のボートに使用されるモーターは全て同じ種類のものである、ということ。例えばスーパーカーレースのF1の場合、エンジンについてある程度の規定が設定されてはいるものの、その規定の範囲内で各メーカーが試行錯誤してオリジナルのエンジンを開発します。しかし、競艇においては全てのボートに同じ「ヤマト発動機」の「水冷式縦型直列2気筒2サイクル」のものが使用されているのです。ちなみに排気量は396.9cc。

ただし、全て同じ種類とはいえ、100%まったく同じ性能のモーターを作ることは難しく、実際にはモーター一つ一つに微妙な性能差が生じます。そしてその差は微妙とはいっても、1/100秒を争う競艇においては多少なりレースの行方に影響を与える要素となります。

競艇では誰がどのモーターを使用するかを、レース前日の「前検日」に抽選により決めることで、公平性確保に万全を期しています。誰がどのモーターを使うかは運次第、ということですが、レース期間中にモーターを整備するのは選手の役目です。ここで、モーターのどの部品をどのように整備すればより性能を引き出せるのか、選手は試行錯誤して仕上げていきます。つまり、このモーター整備の力量も選手のスキルの一つであり、競艇で予想を組み立てる際の判断材料にもなります。

チルト角度とは「ボートにモーターを取り付ける角度」のこと

競艇においてはモーター整備の力量も選手のスキルの一つ。一言でモーター整備といっても様々な項目があるのですが、その中でも競艇ファンでも比較的理解しやすい項目として「チルト角度」というものがあります。

チルト角度とは何かというと、「ボートにモーターを取り付ける角度」のことで、「-0.5度、0度、0.5度、1.0度、1.5度、2度、3度」の間で設定できるようになっています。チルト角度が小さいほどボートが水面に広く接するために、ボートが安定して出足が強くなります。ただし、水からの抵抗が大きくなるのでスピードが出づらいデメリットがあります。

逆にチルト角度が大きいほどボートが水面に接する面積が小さくなり、水の抵抗が小さくなるためにスピードが乗りやすくなります。その代わり、ボートが不安定になるためにターン時などのコントロールに苦労することになります。ちなみに、チルト角度を大きく設定することを「チルトを跳ねる」といいます。

チルト角度は競艇場ごとに設定できる角度が異なる

チルト角度は競艇場によって設定できる角度に違いがあります。詳しくは後述しますが、戸田競艇場のようにコースがあまり大きくない競艇場の場合、スピードが出過ぎないように最大チルト角度が小さく制限されています。逆に、スピードが出ても問題がないコース幅が広い競艇場は、最大の3度まで設定できるようになっています。

チルト角度は選手が好きな角度で設定できる

チルト角度は、選手がレース当日の天候等のコンディションにより任意で設定することになっています。ただし、現代はボートの安定性を重視してか、-0.5度に設定するのが選手の間では定石となっているようです。

そんな中、例えば阿波勝哉選手のように、アウトコースからのまくりを狙うスタイルを確立しており、そのためにあえてチルト角度を常に最大に設定するような選手もいます。

競艇の予想歴が長いファンであれば、選手のチルト角度の設定傾向にまで考えを張り巡らせて予想を組み立てるものです。競艇初心者には少し難しい要素ともいえるので、まずは阿波選手のように、特徴的なチルト角度の設定をする選手を覚えていくようにしましょう。

競艇場のチルト角度設定

最大3度まで設定できる競艇場は15か所

先ほど、競艇場によって最大チルト角度には違いがあるというお話をしましたが、最大の3度まで設定できる競艇場は、以下の15か所です。

 

平和島競艇場/多摩川競艇場/浜名湖競艇場/常滑競艇場/蒲郡競艇場

津競艇場/三国競艇場/尼崎競艇場/鳴門競艇場/丸亀競艇場

児島競艇場/宮島競艇場/下関競艇場/芦屋競艇場/唐津競艇場

 

この中で特に多摩川競艇場は、2008年11月にチルト角度を4度に設定しての模擬レースが行われたことが競艇ファンの間では有名です。この模擬レースは将来的にチルト角度4度を採用することを視野に入れて行われたものだそうですが、残念ながら、その後採用プランは頓挫してしまったようで、現時点ではチルト角度は最大3度のままとなっています。

最大チルト角度が小さい競艇場は7か所

全国24か所の競艇場の中でも、最大チルト角度の設定が比較的小さい競艇場としては、以下の7か所が挙げられます。

 

最大0.5度…戸田競艇場

最大1.0度…桐生競艇場

最大1.5度…びわこ競艇場/住之江競艇場/若松競艇場/福岡競艇場/大村競艇場

 

特筆すべきは戸田競艇場。戸田は、川をそのまま使ったコースであるため、日本一コース幅が狭い競艇場となっています。そのためチルド角度が最大0.5度という小さい設定になっているのです。

レース当日のチルト角度の確認方法

レースに出場する選手たちがチルト角度を何度に設定しているかは「出走表」というデータ資料を見ることで確認できます。出走表は競艇場で直接入手することできるほか、競艇の公式ウェブサイト「BOAT RACE」で閲覧することもできます。

出走表には選手やモーターのチルト角度も含めた整備状況や選手の勝率等のデータが掲載されています。ほかにも、レースのスケジュールや開催期間などの基本的な情報も載っていますから、初心者はまず出走表に書かれている情報の読み取り方を覚えることが、競艇予想の第一歩といえるでしょう。

チルト角度を大きくするので有名な選手たち

阿波勝哉選手

競艇の世界では最も内側を回る1コースの選手が圧倒的有利とされている中で、あえてアウトコースからのスタートにこだわりを見せる選手は「アウト屋」と呼ばれ競艇ファンに親しまれています。中でも、1996年デビューで今年23年目を迎える「アワカツ」こと阿波勝哉選手は、競艇界随一のアウト屋として有名です。

阿波勝哉選手は、例え自分が有利な1コースに入れる可能性の高い1号艇になっても、あえて6コースに入るほど徹底したアウト屋です。その証拠に、競艇の公式サイト「BOAT RACE」で公開されている直近のコース別進入率を見ると、なんと6コース100%!つまり、全てのレースにおいて6コースからスタートしているのです。

阿波勝哉選手といえばかつては「ミスターチルト3度」というあだ名までつけられるほど、チルト角度をその競艇場で許されている最大の角度に設定することが多いレーサーとして知られていました。その他のモーター整備においてもスピードの伸びを重視する仕様に仕上げているとされており、このモーター整備は「阿波仕様」と呼ばれるほど有名に。しかし現在は、かつてほど極端なチルト角度設定にすることはなくなりました。それでも他のレーサーと比べればチルト角度を大きくする傾向にあります。

澤大介選手

阿波勝哉選手と同期の澤大介選手もまた、競艇界指折りのアウト屋として知られています。ただし、阿波選手とは違いデビュー当初からのアウト屋というわけではなく、2003年頃から6コース専属に転向しています。BOAT RACEで公開されている直近のコース別進入率を見ると、6コースは99.1%と、ほぼすべてのレースで6コースに入っています。そして阿波選手と同様に、チルト角度を大きくすることが特徴です。

さて、競艇界ではアウト屋として有名な澤大介選手ですが、まったく別の話題で一瞬、時の人になりました。というのも澤選手は2017年8月、テレビ番組「月曜から夜更かし」の番組観覧に参加。その際に知人とされる女性とペアルックであることを、番組MCの村上信五さんとマツコ・デラックスさんに盛大にイジされてしまう様子が放送されてしまったのです。番組内では澤選手がボートレーサーであることは触れられていないものの、会話の中で「三重県出身」と返答したこともあり、競艇ファンにはバレバレだったのです。

まとめ

いかがでしたか?今回は、初心者にも分かりやすいように、競艇におけるモーターの基礎的な知識からチルトについての解説、チルト角度設定に特徴のある競艇場、さらには最大チルト角度でぶっ飛ばす選手にいたるまで、チルトにまつわる様々な知識を解説をしてきました。公営ギャンブルのイメージとは違うかも知れませんが、競艇はモーターの調子やレーサーのモーター整備の傾向も重要な予想材料となっているなど、実は物理的なロジックが必要となる競技であるといえるのです。

特に予想をする際には、競艇場の最大チルト角度設定と選手ごとのチルト角度設定の傾向はぜひとも頭に入れておいて欲しい要素といえるでしょう。今回ご紹介した内容はぜひしっかりと覚えてもらい、予想の際のロジック組み立ての参考にしてもらえればと思います。

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